愛国者のための経済ブログ

丹羽春喜先生小野盛司先生に学びました。経済を中心に論じて行きたいと思います。ヘリマネを財源ととするベーシックインカムによるデフレ脱却を目指しています。

あれだけ反対運動が激しかったTPPの問題の顛末

TPP(環太平洋パートナーシップ協定)について締結されたのを覚えているでしょうか。そして、その国内法の整備であるTPP整備法改正法が、201876日づけの官報(号外 第147号)で平成30年法律第70号として公布された事をご存知でしょうか。

 

左翼も保守派もあれだけ必死に反対運動をやったのにアメリカがTPPから脱退したとはいえ、今ではほとんどの人が忘れ去っているようです。あの反対運動は一体何だったのでしょうか。

 

私はかつてこのTPPは対中国に対する日米同盟強化が隠された目的であると論じました。

TPP反対派が円安を主張しないのは、為替に対して無知である。

 

しかしアメリカのトランプ政権が脱退してしまったので日米同盟の強化としての意味合いは無くなりました。しかしアメリカを除く11カ国との同盟の強化には繋がるものでしたのでまあまあの成果だと思います。

 

貿易面だけ考えても日本製品は優れているので、大雑把に考えて互いに関税を引き下げた場合には日本に有利に働きます。

 

TPPはそもそも日本の民主党左翼政権が中国に接近するとアメリカが警戒したため、アメリカが日本に対してかなり貿易面でのメリットの餌をチラつかせて日本をアメリカに引き戻そうとしたのが真の目的です。そう考えると、TPPは日本側にかなり有利で、アメリカ側がかなり損を引き受ける条約なのです。

 

日本はアメリカの属国であるという人が結構いますが、外交面全体を見るとアメリカが日本に対して譲っている面を結構多いのです。だから結局アメリカトランプ政権の側がアメリカ国内世論の反対によって脱退するという結果になりました。

 

そして現在の日本とアメリカは二国間自由貿易協定(FTA)を結ぶための交渉を始める流れになっています。日米はお互いの関税を引き下げ日米の接近を図り、日米同盟の強化の流れに繋げたいようです。

 

米中経済戦争によってお互いの関税を引き上げ合戦を繰り広げているのとは逆の流れです。日米同盟は強化の流れを強め、米中は冷戦の方向に向かっているようです。

米中貿易戦争を簡単に論じてみる

米中貿易戦争について少し論じて見たいと思う。

正直、あんまり詳しく事は知らないので概括的に論じたいと思う。

 

結論から言えば、アメリカ側が圧倒的に有利な状況である。

アメリカは一貫した貿易赤字国である。

中国は一貫した貿易黒字国である。

 

アメリカは輸入が多く、輸出が少ない国である。中国は輸出が多く、輸入が少ない国である。

 

どういう落とし所になるかはわからない。

両国がお互いに関税を課税しあった場合に勝つのは輸入の多いアメリカである事は明らかである。

中国経済は輸出依存度が極めて強い。これだけ考えても中国経済には重大な被害をおよぼす事は明らかである。

アメリカ経済にはほとんどマイナスにはならない。その証拠に米国株も最高値圏にある。

中国から買わなくてよくても、売ってくれる国はいくらでもあるからである。中国からの輸入が減った分、日本から輸入しなければならなくなり結構日本経済には利益になるかもしれない。

 

アメリカはトランプ政権になり、ようやく中国の危険性に気がついて中国の抑え込みを始めたようです。

 

米中冷戦の始まりかもしれません。

高齢者の就業率が高い事は日本経済にマイナスである

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日本の高齢者の就業率は他の先進国と比較して非常に高いです。

 

これについて、日本人の多くは健康で歳を取っても働けて良い事であると感じる人が多いと思います。また高齢者ほど勤勉意識が高いです。年金制度の違いもあるのかもしれませんがそれにしても高いです。また政府も高齢者の活用とか言って、出来るだけ高齢者を働かせる方向で政策を行なっています。

 

しかし私は、この事について良い事だとは思っていません。

以前にも言いましたが、賃金も需要と供給によって決まりますから、働く人が増えると、

 

労働供給量の増加賃金の低下購買力の低下消費の減少GDPの減少

 

というメカニズムで私はGDPを減らしてしまうと考えています。

だからと言って、勤勉が善だと教えられてきた高齢者に働く事は良くないと言われてもなかなか受け入れられるものではありません。高齢者ほど価値観を変えるのは難しいです。

 

しかし少しずつでも、労働時間よりも余暇時間を大事にする政策に変えていかなければなりません。ましてや人工知能やロボットで人手が余る時代になるわけです。老人や女性そして外国人を受け入れてまで働かせる政策はやめさせなければなりません。

私は失業率が1%前半にならないとインフレ率2%は達成出来ないと思う

完全失業率2・4%の意味 異常値ともいえる大幅下落、賃金本格上昇はこれから

2018.3.8

1月の完全失業率が2・4%と24年9カ月ぶりの低水準となった。この失業率が意味するものは何か。賃金の本格上昇には、低い失業率がどの程度続く必要があるのか。

 本コラムで、NAIRU(インフレを加速しない失業率)がマクロ経済政策、とりわけ金融政策において重要だと指摘してきた。一般的に、インフレ率と失業率は逆相関であり、NAIRUを達成する最小のインフレ率をインフレ目標に設定するからだ。ここから導かれる金融政策は、失業率がNAIRUに達するほど低くない場合、インフレ率もインフレ目標に達しないので金融緩和、失業率がNAIRUに達すると、その後はインフレ率がインフレ目標よりも高くなれば金融引き締めというのが基本動作である。

 そして、筆者の推計として、NAIRUを「2%台半ば」としてきた。国会の公聴会でも説明したが、経済学は精密科学でないので、小数点以下に大きな意味はないが、あえてイメージをハッキリさせるために、「2%台半ば」を2・5%ということもある。これは、2・7%かもしれないし2・3%かもしれない。2・5%程度というと数字が一人歩きするので、普通は「2%台半ば」といっている。

 今回、2・4%という数字が実際に出たわけなので、NAIRUに達したかといわれるが、筆者の答えはまだ否である。

 なにしろ、前月の昨年12月は2・7%だったので、0・3%もの大幅な下落となった。一方、1月の有効求人倍率は1・59倍と前月と同水準である。

 失業率は、失業者を労働人口で除した数字である。失業者は働く意思があるが失業している人をいうので、1月には大雪があり、職探しを中断して、結果として失業者が減った可能性もある。

 過去のデータを見ても、失業率はあまり上下しない数字である。過去1953年1月から、前月との差をみると、平均0・00064、標準偏差0・11である。ほぼ変動しないのが当たり前だ。これではイメージしにくいかもしれないので、今回のような0・3%下落を探すと、780回のうち今回を含めてわずか7回である。しかも、最大の下落幅だったのだ。

 統計的に見ると、今回の下落はほとんど起こりえないことが起こったわけで、統計的に異常値であるといってもいい。NAIRUになっているかどうかは、あと数カ月間の動向を見なければ判断できない。

 もちろん、失業率が一時でもあれ下落したのは悪いことではない。しかし、これで、金融政策の出口と早計したら、間違った政策になってしまう。

 というわけで、今回の数字だからNAIRUになったとはいえないが、仮にNAIRUになったら、その半年から1年以内に本格的な賃金上昇が来るはずである。なぜなら、人手不足なので、企業は賃金を払わないと人の確保ができなくなり、企業活動に支障が出てしまうからだ。今がNAIRUとは決していえないが、それが目前に迫っていると筆者は思っている。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一

【日本の解き方】完全失業率2・4%の意味 異常値ともいえる大幅下落、賃金本格上昇はこれから (1/2ページ) - zakzak

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(私の意見)

前回に引き続き高橋洋一先生の記事からの引用です。高橋洋一先生は今年の3月時点で失業率が2%前半まで低下したのだからインフレが起こると予測しているようですが、 これはどう見てもやはり甘い見方だと思います。

今年6月のインフレ率を見ると、生鮮食料品やエネルギーは変動が大きいのでそれを除いたコアコアと呼ばれるインフレ率で見るのが正確なのですが、実にインフレ率0.2%しか上昇していません。インフレ率2%には程遠い状況です。

私は失業率1%前半にならないとインフレ率2%は達成できないと思います。はたまた失業率1%切ってもインフレ率2%を達成できない状況が出来ない状況になるかもしれません。

これは雇用が流動化して非正規雇用が増えたせいか、IT化AI化が進んだせいか私も不明ですが、いずれにしても経済の構造がインフレが起こらない体質に変わっている事は事実です。

しかし、いくら金融緩和をやってもインフレが起こらないという事は、喜ぶべき事なのです。どんどんどんどん金融緩和や財政出動をしてもインフレが起こらないという事だからです。

金融緩和が限界になっている以上、繰り返しますがもっともっと財政出動が必要な状況になっているという事です。

高橋洋一先生は間違っていたが、日銀はもっと間違っていた

日銀の構造失業率の認識は誤っている だから賃金も物価も本格的に上がらない 2016.05.25

 

金融政策の目的は「物価の安定」といわれることが多いが、物価は失業率と裏腹の関係があり、金融政策は雇用政策である。

 失業率は低ければ低いほどよく、ゼロが理想であるが、実際にはゼロにならない。どうしても、雇用のミスマッチなどで、これ以上下げることができないという失業率が存在する。これを構造失業率という。いくら金融緩和をしても、構造失業率よりは下がらず、インフレ率だけが高くなってしまうのだ。

 そこで、構造失業率に関する見解を聞けば、その人がどのくらい金融政策を理解しているかどうかがわかる。アベノミクスの金融政策について否定的な見方をする人は、金融政策の本来の目的と構造失業率について、ほとんど理解していない。

 構造失業率のことを考えていないことすらしばしばだが、構造失業率の水準を尋ねると、4%台などとんでもないことを言い出す人も多い。金融政策が不要であると言いたい

というわけで、金融政策については、日銀が構造失業率をどう考えているかがきわめて重要な話だ。4月の金融政策決定会合後に公表された「経済・物価情勢の展望」の中に、構造失業率に関する図がある。それによれば、日銀は3%前半とみている。

 そういえば、3月16日、官邸で行われた国際金融経済分析会合で、日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁がジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大教授に「日本で賃上げのペースが遅いのはなぜか」と質問した。黒田総裁は、すでに今の失業率が構造失業率に達しているのに、なぜ、賃金が上がらないのかと不思議に思っているようだ。日銀が構造失業率を3%前半とみているから、こうした疑問が出てくるのだろう。

 これに対する筆者の答えは、「日銀が間違っており、構造失業率は2・7%程度だ」というものだ。だから、まだ賃上げは本格化せず、物価も上がりにくいのだ。

 構造失業率を推計する方法としては、フィリップス曲線による分析(特にNAIRU=インフレを加速させない失業率=の推計)があるが、より容易に正確に推計できるのが「UV分析」という方法だ。

 UV分析とは、縦軸に失業率(U)、横軸に欠員率(V)をとり、その動向から構造失業率を算出するもので、厚生労働省の「職業安定業務統計」による欠員統計を利用できる。

 金融緩和すると、第1段階では失業率が下がり欠員率が上がる。この状態が続くと、そのうち本当に人手不足になり、第2段階では失業率は下がるが欠員率も下がる。1990年以降をみると、十分な金融緩和が行われなかったため、日銀は第2段階の経験がない。

 データによると、日本の現状はまだ第1段階であり、この時点での構造失業率を推計すると日銀のいうように3%台前半だろう。しかし、第2段階まで見越すと、構造失業率は2・7%程度になる。そこまでいけば、賃金・物価も本格的に上がり出すはずだ。逆にいえば、失業率が3%を切るまで金融緩和しないと、2%の物価目標も達成できない。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一

【日本の解き方】日銀の構造失業率の認識は誤っている だから賃金も物価も本格的に上がらない (1/2ページ) - 政治・社会 - ZAKZAK

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(私の意見)

2年前の結構古い記事からの引用です。平成30年5月の失業率が2.2%で、6月に失業率が2.4%ですが、インフレ率2%には程遠く全く達成していません。日銀の3%前半でインフレが起こり始めると分析していたのが論外としても、2年前の時点で高橋洋一先生も2.7%まで下がればインフレが起こるとしていた予測も間違っていました。

どうも高橋洋一先生も日本のデフレの根深さを甘く見ていたようですし、また失業率が下がってもインフレ率がなかなか上がらないという経済の構造の変化を見逃していたようです。

バブル経済の頃は2%前半の失業率で2〜3%のインフレ率でした。理由ははっきりとしませんが、ITやAI化の影響で失業率が下がっても物価や賃金に影響を与えなくなったのか、それとも雇用の流動性が強くなったせいなのか、ちょっと良く分かりません。

いずれにしても今の時点でまだ金融引締めを行なってはならない事は明らかであり、更なる積極財政が必要な事も明らかです。

どうもリフレ派とされる経済学者でさえ日本のデフレの根深さや経済の構造の変化を甘く見ていたようです。

 

 

 

 

 

日本の左翼やその労働組合は労働者の生活改善に取り組んでこなかった

私は日本が大好きですが、日本の労働政策、労働者の状況についてはものすごく嫌です。

 

本来、労働基準法では原則1日8時間、週40時間以上働かせてはいけないのです。

もちろん例外もありますがそれはものすごく厳しい基準なのです。(どういうものが例外かについては省略します)

 

しかしそれが守られているのは地方公務員か一部民間優良企業くらいなものでしょう。

 

また労働基準法には年次有給休暇という制度もありますが、これは6ヶ月以上勤務したら、アルバイトであろうと非正規雇用であろうと与えなければならないのです。

 

ところが、非正規雇用では与えらていない場合がほとんどです。

正社員であったも事実上取れない企業が山ほどあります。

ましてや年次有給休暇が全て消化できる企業などほとんどないでしょう。

 

年次有給休暇は本来、労働者の権利なのですから全て消化できなければなりません。

 

それどころかサービス残業という名のタダ働きが公然とまかり通っているのです。

サービス残業というと聞こえはいいですが、経営者による労働者に対する給与泥棒なのです。こんなものは労働基準法以前の問題としてあってはならない話なのです。

 

労働基準法というのは労働者の最低水準を決めたものにすぎません。

ですからもっと上の待遇を与えてもいいのです。

ところがその最低水準すら守られていないのです。

 

これは労働基準監督署労働基準法の違法状態を公然と放置しているからです。

そして左翼や左翼の労働組合もこの違法状態を公然と放置されている状態を容認してきたのです。

 

左翼の労働組合は戦後、反原発だとか成田空港建設反対とか安保反対とか全く労働問題とは関係ない問題ばかり取り組んできました。

 

左翼の労働組合は労働者の生活を改善する気など全く無いようです。

日本企業の研究開発費が少なすぎる、日本の未来は暗いか

 

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http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1710/25/news121.html

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アメリカのIT企業に比較して日本企業の研究開発費はあまりにも少な過ぎます。売上高に対する研究開発費もアメリカのIT企業が圧勝しています。これだけを見ると日本の将来は暗いと言わざる得ません。日本企業は内部留保ばかりを溜め込み研究開発を怠っています。残念な事ですが。