愛国者のための経済ブログ

丹羽春喜先生小野盛司先生に学びました。経済を中心に論じて行きたいと思います。ヘリマネを財源ととするベーシックインカムによるデフレ脱却を目指しています。

1980年代のアメリカ経済の話

1980年代のアメリカ経済の話をします。

この時は、共和党レーガン政権でした。

レーガンは「強いアメリカ」を掲げて大軍備拡大を行いました。それから大減税も行いました。

大軍備拡大は悪い事ではありません。当時は冷戦下でソ連の脅威というのがありましたから、自由な民主主義の西側社会を守るためには当然に必要な事です。

大規模な歳出増と大減税だと、当然に大幅な財政赤字が出ます。大量の国債が発行されました。

国債は民間市場で消化されました。そうなると、民間市場は資金不足となり金利が大幅に上昇しました。金利が上昇すると、民間企業の設備投資や国民の住宅投資が難しくなり、抑えられてしまします。そうすると、せっかく財政赤字を出して行なった経済効果が減殺されてしまいます。これを経済学ではクラウディング・アウトと言います。

また金利が高くなると、他国にとの金利差から資金が流入するようになります。そうすると、せっかく財政赤字を出して行なった経済効果が減殺されてしまいます。これで通貨高、つまりドル高を引き起こしました。これを経済学ではマンデル・フレミング効果と言います。

本当ならば、この場合、中央銀行は利下げや買いオペ(中央銀行つまりFRB国債を購入する事)などの方法により、民間市場に資金を供給する事で金利の上昇をおさえるべきなのです。そうすれば、財政赤字を出して行なった経済効果が減殺されずにすみます。

当時のFRBの総裁はボルガーという男でした。彼は前政権の民主党のカーター政権で任命されたFRB総裁でした。彼はなんとレーガン政権からの金利引き下げ要請に対して拒否しました。

当然、アメリカは金利高、ドル高になりました。当時の金利高は「マフィアの商売くらいした成り立たない」というくらいの金利高になったそうです。そうすると、アメリカは当然に産業空洞化を引き起こしました。トランプ次期大統領が問題視しているアメリカの産業空洞化は30年前に始まった事なのです。アメリカの白人達はこのボルガーという男を恨むべきなのです。

私はボルガーはソ連のスパイであった疑いを持っています。証拠はありませんが。しかし、どう考えてもレーガン政権の軍備拡大政策を妨害しているとしか思えません。

この時日本はドル高・円安によって結果的に利益を得る事になりました。自動車産業や電気機械産業はアメリカ市場を席巻し、ジャパン・アズ・ナンバーワンと呼ばれるようになりました。

レーガン政権はこのボルガーというFRB総裁を解任する事が主眼の目的だったそうです。ボルガーは解任され、グリーンスパン総裁に変わり、金利は引き下げられました。

政権もブッシュ父に変わり、ベルリンの壁は崩壊し、そしてソ連も崩壊しました。アメリカは冷戦に勝利しました。

結果的に見ると、アメリカは冷戦に圧勝した様に見えます。しかし、産業空洞化というかなりの打撃を伴っての勝利というわけです。