愛国者のための経済ブログ

丹羽春喜先生小野盛司先生に学びました。経済を中心に論じて行きたいと思います。ヘリマネを財源ととするベーシックインカムによるデフレ脱却を目指しています。

アメリカの繁栄の虚像

私は、てっきりここ30年間くらい、日本の経済成長は遅れて、アメリカに比較しても日本人は貧しくなってしまったと思い込んでいました。でもそれは違いました。

アメリカの人口の推移
(単位:百万人)
1987年 242.8
1997年 272.8
2007年 301.9
2017年 325.7
なんと、30年で8000万以上も人口が増加しています。

ちなみに同時期の日本の人口の推移です。
(単位:百万人)
1987年 122.0
1997年 126.0
2007年 127.8
2017年 126.7
と20年30年前と比べてほとんど増加してませんし、10年前よりも若干減少しています。

一方のアメリカの出生率は1.86(2014年)で日本に比べると高いもののやはり2を切っています。人間は何十年も生きるので人口は2を切ってもすぐに人口が減り始めるわけではないですが、このアメリカの人口増はやはり移民の受け入れによるものです。アメリカはそもそも移民の国で移民をどんどん受け入れているため、人口は右肩上がりに増加しています。

では、アメリカの実質GDPの推移を見てみると、
1987年 2017年(10億ドル単位)
8,133 →17,047 30年間で2.1倍

同時期の日本の実質GDPの推移を見てみると、
1987年 2017年 (兆円単位)
339 → 528 30年間で1.6倍

アメリカは実質GDPが2.1倍になり、日本は1.6倍ですから、一見するとアメリカからものすごく遅れをとった様に思います。
では一人当たり実質GDPだとどうなるでしょうか。

それでは一人当たりGDPで比較して見ましょう。
では、アメリカの実質GDPの推移を見てみると、
1987年 2017年(ドル単位)
33,502→52,331 30年間で1.6倍

同時期の日本の一人当たりの実質GDPの推移を見てみると、
1987年 2017年 (万円単位)
298 → 432 30年間で1.5倍

私は、ここ30年間アメリカ経済は繁栄していて、日本経済はそれに比べて衰退していると思っていました。日本では失われた20年とか、30年とか言ったりしますね。でも人口一人当たりの実質GDPで見てみると、アメリカと日本の成長率はほとんど変わらないわけです。私も一人当たりGDPで考えてハッと気がつきました。

アメリカの人口増加の原因のほとんどはヒスパニックと呼ばれるメキシコ辺りからの貧しい移民の流入によるものです。確かに、貧しい移民がアメリカに住んだわけですから、家とか家具とか電化製品とかを一通り買い揃えなければなりません。その需要がアメリカの経済成長の原因だったわけです。いわば、アメリカ国内に発展途上国を作ってしまった様なものです。

しかしそれ以前から住んでいた白人らのアメリカ人達は決して豊かになった訳ではなかったのです。一人当たりの実質GDPでは日本とほとんど変わらない成長率です。むしろ、新たに住み始めたヒスパニックを含めての一人当たりの実質GDPですから、それ以前から住んでいたアメリカ人達の一人当たりのGDP成長率は日本人の一人当たりの実質GDP成長率より遅れをとっていると考えられるのです。

例えば、日本に移民が大量に入ってきたとします。そうすれば、その移民達は家と家具とか電化製品とか一通り買い揃えなければなりませんから、その需要により数値上のGDPは上がるでしょう。しかし、今まで住んでいた日本人の生活は衰退するでしょうし、日本の国体は守られないでしょう。

アメリカの見かけの繁栄は虚像だったのです。