愛国者のための経済ブログ

丹羽春喜先生小野盛司先生に学びました。経済を中心に論じて行きたいと思います。ヘリマネを財源ととするベーシックインカムによるデフレ脱却を目指しています。

人手不足を煽りたい偏向報道

【帝国データ】人手不足倒産、13年上期比で2.9倍に増加

http://jp.mobile.reuters.com/article/topNews/idJPKBN19W0M8

[東京 11日 ロイター] - 帝国データバンクが10日に公表した「人手不足倒産の動向調査」によると、従業員の離職や採用難などで人手を確保できず倒産した企業(負債1000万円以上、個人事業主含む)の数は、2017年1月─6月は2013年の同時期と比べ2.9倍に増加した。

同社が集計を開始した2013年1月から直近の2017年6月末までの4年半で発生した「人手不足倒産」の累計件数は290件となった。2013年上期は17件だったのに対し、今年の上期は49件に上った。倒産件数全体に占める割合はわずかではあるものの、直近の上期は集計開始以降初めて40件を超え、緩やかな増加傾向にある。

負債規模別件数では、「1億円未満」(137件、構成比47.2%)が最多となり、小規模企業の倒産が目立った。業種別件数は最多が建設業(105件、同36.2%)で、これにサービス業(92件、同31.7%)が続き、この2業種で全体の67.9%を占めた。

業種細分類別では、老人福祉事業が19件とトップ。超高齢化社会のなか、低賃金や職場環境の悪化を背景とした介護スタッフの定着率低下が影響し、業績改善が見込めず倒産に至ったケースが目立つという。

都道府県別では、東京都が39件で最も多かった。以下、福岡県の22件、北海道及び大阪府の18件が続いた。

(辻茉莉花)

2017年 7月 11日 5:07 PM JST

(私の意見)--------------------------------
さも人手不足で社会全体が困っているかの様な報道です。人手不足を原因とされる倒産は今年の上半期で49件だそうです。

ちなみに今年の上半期の倒産件数は4,267件です。
http://www.tsr-net.co.jp/news/status/half/2017_1st.html

ですから、倒産件数に占める人手不足を原因とする倒産は1%程度に過ぎないのです。これを大げさに報道するというのは、人手不足を強調して、移民や外国人労働者や女性の就労促進を煽りたい人達がやっている偏向報道なのです。

そもそも人手不足だというなら賃金をあげれば良いだけです。低賃金労働に依存して、賃金を上げる事が出来ないで倒産するというのはビジネスモデルとして成立していないという事です。そんなブラック企業はそれこそ淘汰された方が良いのです。

ベーシックインカムの財源はヘリマネでなければ意味がない

具体的な提案に移ります。その骨子はタイトルのとおり「全成人」に「毎月8万円」を配布するというものになります。

◎配布の内容
対象:全成人国民(約1億人)
金額:毎月8万円(年間96万円)

対象に子どもを含める案も考えられますが、後ほど触れるようにベーシックインカムは万能ではなく、子育てや教育、医療や介護制度などは別途必要となります。そのため、今回の提案では分かりやすく成人を対象とする制度としました。

また、月8万円の提案の理由は、年金(基礎年金が月約6万5千円)や生活保護を念頭におきつつ、税による追加負担(後述)軽減も加味した結果、現時点ではこの額となりました。

さて、この制度には当然財源も必要です。年間予算は約100兆円。以下では、財源とともに行政の透明化もセットで示していきます。

◎制度の財源など
行財政の改革:公務員給与の一律削減、省庁や役所の整理統合、生活保護制度廃止、基礎年金はベーシックインカムに置き換え(厚生年金は残す)

消費税の変更:8%から20%へ、全体を個人ベーシックインカム税に変更
法人への新税:法人ベーシックインカム税創設(従業員数に応じた一段目(約月4万円/一人)と会社規模に応じた二段目(大企業課税))、最低賃金雇用保険の廃止・見直し、年金保険料企業負担の一部廃止、配偶者控除等の廃止

以上が制度の財源になります。生活保護や基礎年金制度、最低賃金雇用保険配偶者控除など生活を支えるための従来の仕組みはベーシックインカムにより代替されますので廃止・見直しとなります。また公務員給与も一部ベーシックインカムで代替しますので減額、さらには不要となった省庁や役所は整理統合します。これによる効果は、直接的な財源としても10兆円規模となる見込みです。

また、全ての人が社会の担い手である以上、財源の半分は消費税(個人ベーシックインカム税に変更)でまかないます(税率20%)。この場合、月20万円お買い物する人は納税が4万円となり8万円のベーシックインカムでお釣りがきますが、月40万円お買い物する人は納税が8万円となりトントンとなります。すわなち、高額な出費をするほど負担は重くなりますが、この部分により累進性を担保することになります。なお、軽減税率のような複雑な仕組みは採用しません。

さらに企業においては、最低賃金雇用保険、一部年金保険料等の負担を軽減する代わりに、従業員数に応じたベーシックインカム税を創設します。また大企業には二段目として更なる課税を検討します。これには、既に述べたとおり、今後のAIやロボット等の発達に伴う富の偏在化を防ぐという意味合いもこめられています。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170708-00010004-agora-soci&p=2
(私の意見)--------------------------------
民進党の松尾勉という人が言っている。ベーシックインカム論です。これは端的に言って、全く意味のない議論だと思います。

私もベーシックインカム論には賛成ですが、あくまで財源は日銀の国債保有政府紙幣などのヘリマネに財源を求めないと意味がありません。増税やその他の歳出を財源に求めては単なる予算の組み替えに過ぎないのです。

それどころかこの人は、ベーシックインカムの財源で消費税を20%にしろと言っています。全く愚かな話です。ベーシックインカムでお金を配ったとしても、それだけ消費税が高ければ消費にお金が回らず貯蓄に回ってしまう可能性が極めて高いです。

生活保護や公務員給与や公的年金は既得権ですから、廃止や減額がそう簡単に出来るはずがありません。それどころか公務員労組を一番の支持基盤にしている民進党がそれを出来るはずがありません。

民進党ベーシックインカムという流行りの言葉で人気取りをしたいようですが、どういうわけだかヘリマネという議論は絶対に避けるのです。財務省や日銀の虎の尾は踏みたくない卑怯者です。

日本はものすごいデフレ経済なのです。膨大な生産余力の過剰を抱えているのです。ですから日銀の国債保有などのヘリマネに財源を求めなければ、ベーシックインカムの議論をしても全く意味のない議論なのです。

積極財政に向けて潮目が変わってきた

自民2回生「財政黒字化撤回を」 規律派とさや当て
2017/7/5 22:52
 財政政策をめぐる自民党内の議論が活発になってきた。当選2回の衆院議員グループは5日、2020年度の基礎的財政収支プライマリーバランス=PB)の黒字化目標を取り下げるよう政府に提言した。一方、財政規律を重んじる野田毅税制調査会最高顧問らも勉強会をつくり賛同者の獲得に動く。消費増税の是非の判断も控え、さや当てが始まっている。

 提言は同党衆院の2回生約100人のうち28人の連名。呼びかけ人代表の安藤裕氏らが首相官邸萩生田光一官房副長官に提言書を渡した。

 経済成長を優先するため、赤字を気にせず公共事業や教育分野の歳出を思いきって増やすよう求めた。19年10月に予定する10%への消費増税の凍結に加え、5%への減税検討も訴えた。家庭の教育費の負担を軽くするため、教育国債の創設も提案した。安藤氏は「今はデフレを脱却できるかどうかの分かれ道。財政出動が必要だ」と強調する。

 党内では吉田博美参院幹事長や西田昌司参院議員らのグループも4月、PB黒字化の撤回を求める提言を参院約100人の連名で政府に出した。財政再建より経済成長を重視する安倍晋三首相の援軍が増えている。

 一方、財政規律派は野田氏を会長とする勉強会を5月に立ち上げた。これまでに2度会合を開き、石破茂前地方創生相や野田聖子元総務会長らベテランも多く出席した。事務局を務める村上誠一郎元行革相は「金融緩和や財政出動に頼るアベノミクスは行き詰まった。早く現実路線に転換しないといけない」と話す。

 政府は6月にまとめた経済財政運営の基本方針(骨太の方針)にPB目標と並んで国内総生産(GDP)に対する債務残高の比率を下げる目標を掲げ、経済重視の姿勢を打ち出した。来年にはPB目標を堅持するかどうかや消費増税の是非を判断する見通しだ。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS05H3D_V00C17A7PP8000/

(私の意見)--------------------------------

やっとマトモな国会議員が増え始めました。財政出動が出来る環境が整いつつあります。あともう少しのところまで来ているようです。

財務省が布教した財政再建教という馬鹿げたカルト宗教がおよそ40年くらい前から流行し始めました。そのせいで、防衛力、公共基盤、社会保障などのあらゆる公共サービスをマトモに整備する事が出来なくなっていましたが、ようやくその洗脳から脱け出ようとしています。

もしかしたら日本は大規模な財政出動によって高度経済成長が復活するかもしれません。

しかし依然として、自民党内には財政再建教に洗脳された石原伸晃とか小泉進次郎とか野田聖子とか石破茂とかのゴミクズの馬鹿もいますので予断を許しません。

それにしても潮目が変わって来ました。

マクロ経済的にも生活保護は積極的に活用した方がいい

貧困状態なのに…生活保護を利用しない人が多い理由
7/4(火) 12:12配信
読売新聞大阪本社編集委員 原 昌平
 日本の生活保護で最も大きな問題は何でしょうか。貧困状態なのに、利用していない人がたいへん多いことだ、と筆者は考えています。

 生活保護では、世帯の人数、年齢、地域に応じた最低生活費を算出し、それに医療費など個別事情によって必要な費用を加えた額が、その世帯の生活保護基準額となります。それより収入が少なく、利用できる資産を加えても足りないときは、保護を利用できます。


 生活保護基準を下回る経済状態の世帯のうち、現実に生活保護を利用している割合を「捕捉率(ほそくりつ)」と呼びます。社会のセーフティーネット(安全網)である生活保護制度が、その対象になりうる世帯をどれぐらいキャッチしているか、という意味です。

 厚生労働省の推計でも研究者の推計でも、捕捉率は、所得だけで判定すると1~2割、資産を考慮しても2~3割にとどまります。残りの7~8割は、とても貧しい生活水準に置かれているわけです。憲法25条の定める生存権(健康で文化的な最低限度の生活を営む権利)の保障が行き届いていないと言わざるを得ません。

所得が保護基準に満たないのは705万世帯…厚労省推計
 厚労省は、民主党政権だった2010年4月、生活保護の捕捉率の推計を初めて公表しました(同省ナショナルミニマム研究会第8回資料「生活保護基準未満の低所得世帯数の推計について(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/04/dl/s0409-2d.pdf)」)。

 この推計は2種類の統計データをもとに計算されました。そのうち総務省の「全国消費実態調査」(2004年)は、回答するのに家計簿をつける労力がかかり、低所得世帯の割合が低く出る傾向があると指摘されています。そこで、より信頼度が高いと考えられる厚労省の「国民生活基礎調査」(2007年)をもとにした数字を示します。

 この時点の世帯総数(A)は4802万世帯でした。そのうち、所得が生活保護基準に満たない低所得世帯(B)は、597万世帯(12.4%)でした。それに「貯蓄が保護基準の1か月未満で住宅ローンなし」という条件を加え、資産も考慮した保護基準未満の低所得世帯(C)は、229万世帯(同4.8%)となりました。

 当時の生活保護世帯数(D)は108万世帯です。保護を利用している場合、保護基準ちょうどの収入額、あるいは勤労収入があれば保護基準を若干上回る収入額になるので、生活保護世帯は、保護基準「未満」の低所得世帯(BやC)には含まれません。

 したがって、保護基準「以下」の世帯数を出すには、保護世帯数を加える必要があります。所得のみで判定した保護基準以下の世帯数(B+D)は、705万世帯(全世帯の14.7%)、資産も考慮した保護基準以下の世帯数(C+D)は、337万世帯(全世帯の7.0%)になりました。

所得のみで15%、資産を考慮して32%の捕捉率?
 現実の保護世帯数を、保護基準以下の世帯数で割った数字は、次の結果です。

所得のみで判定した場合   D/(B+D)=15.3%

資産も考慮して判定した場合 D/(C+D)=32.1%

 親族の援助など他の要素もあるので、正確な意味での捕捉率にはならないと厚労省は説明しましたが、ひとつの目安にはなります。

 ただし、ここで用いた保護基準額は、生活扶助、教育扶助、高校就学費の合計です。住宅扶助、医療扶助などは、この計算上の保護基準額に入っていないので、実際の低所得世帯はもっと多く、生活保護による捕捉率はもっと低いと考えられます。

 厚労省は「同様の調査を定期的に実施し、その動向を把握していく」と説明していましたが、その後、こうしたデータ分析は公表されていません。

研究者の推計でも、捕捉率は2割に満たない
 生活保護基準で線引きした貧困率や捕捉率については、1990年代から何人かの研究者が推計してきました。その多くは、所得のみの判定で10%から20%の間でした。

 最近では、山形大学の戸室健作准教授が、総務省「就業構造基本調査」のデータをもとに、生活保護基準で見た貧困率、捕捉率を都道府県別に計算しました(「都道府県別の貧困率ワーキングプア率、子どもの貧困率、捕捉率の検討(http://www-h.yamagata-u.ac.jp/wp-content/uploads/2016/04/nenpou13_03.pdf)」)。

 それによると、所得のみで判定した2012年の捕捉率は、全国平均で15.5%でした。先の紹介した厚労省の推計と、ほぼ一致しています。都道府県別で高いのは大阪23.6%、北海道21.6%、福岡20.0%、東京19.7%、高知18.7%の順。低いのは富山6.5%、長野6.6%、山梨7.1%、岐阜7.9%の順。かなりの地域差がありますが、高くても2割台にすぎません。

 戸室准教授の計算は生活扶助、住宅扶助、教育扶助、一時扶助の合計額で判定しており、医療扶助、高校就学費などは入っていないので、実際の捕捉率はもう少し低いはずです。

厳しい運用、冷たい対応、恥の意識……
 生活保護の捕捉率の低さは、制度があっても利用しにくいことを示しています。

 なぜ、そうなるのか。一つは資産要件の運用の厳しさです。現金・預貯金が保護基準の1か月分より多いと申請しても通りません。クルマの保有は求職・通勤・通院などの事情がないと認められず、車がないと日常生活が不便な地域では大きなネックになります。

 福祉事務所の対応も問題です。利用できないと思わせる説明を職員がすることや、冷たい態度を取ることがあります。

 生活保護の利用には、原則として本人の申請が必要です。けれども政府・自治体の広報は不十分で、制度の正しい知識・理解が伝わっていません。それどころか、恥の意識が社会に広く存在しています。申請後、親族に対して、申請者を援助する意思があるかどうかを問い合わせるのも、利用しにくくする壁になっています。生活が苦しくても我慢する人が多いわけです。とりわけ住民同士が互いをよく知るムラ的な風土の地域では、心理的な抵抗感が大きいでしょう。

 必要な時に生活保護を利用することは、憲法上の権利です。遠慮しないで利用できるよう、まずは行政からの積極的な周知広報を行うことが重要だと思います。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170704-00010000-yomidr-soci&p=3

(私の意見)--------------------------------

私は生活保護を日本国民に関してはもっともっと積極的に活用した方が良いと思っています。それはそれは単に貧困救済というだけでなく、マクロ経済という観点から見ても良いのです。

そのための予算を国は積極的につけるべきだと思います。生活保護は法律で決まった義務的経費ですから削減が難しいです。ですからマクロ経済的には確実な需要を保証する事になります。

私は、最低賃金ギリギリ程度の低賃金で働いているくらいなら、生活保護を受けてしまった方が良いと思います。私は労働供給量が減った方が経済が成長するという考え方を持っています。

労働供給量の減少→賃金の上昇→購買力の上昇→消費の増加→GDPの増加

生活保護予算の歳出の増加→消費の増加→GDPの増加

というメカニズムで国民が労働をやめて、国民がもっと積極的に生活保護を活用した方が経済は成長すると考えます。

これは一般的な道徳とは逆だと思います。しかしマクロ経済的には逆が真実である場合が多いのです。

現在、生活保護などの福祉制度は申請主義を取っています、しかし国民に一定の生活水準を下回ったら生活保護を受給させる事を義務付けた方が良いと思います。

 

東京都都議会議員選挙の結果分析

東京都都議会議員選挙は御承知の通り、小池都民ファーストが圧勝しました。
自民党は歴史的な大敗をしました。

この選挙結果については、色々な見方があると思いますが、私なりの見方を述べたいと思います。

まず小池百合子という人物は政局を読む能力が天才的と言えます。

小池氏はいわゆる劇場型政治という手法を使いました。この手法は小泉純一郎橋下徹も使った手法です。

単純明快なキャッチフレーズを打ち出し、マスメディアを通じて広く大衆に支持を訴える、ポピュリズム的政治手法です。敵対勢力を悪役に見立て、自分は庶民の味方として戦いを挑むといった構図を作り上げ、国民の関心を引きつけるというものです。

小泉元総理は特定郵便局長会を敵に回して郵政選挙をおこない大勝利しました。しかし今は特定郵便局長会は自民党の集票団体に戻っています。かつて郵政選挙特定郵便局長会を敵に回して選挙した事などほとんどの国民は忘れ去っています。

小池氏は内田茂という都議会ドンをはじめとする都議会自民党を悪役にしてメディアを利用して支持を得ました。数年後にはこの事もやはり忘れ去られている事でしょう。

ただ小池氏は単に劇場型政治をやって浮動票を得ただけではありません。組織票も完璧に固めました。

創価学会公明党自民党と同盟関係にあり、自民党を支援しています。しかし今回の都議選においては、都議会自民党から切り離し、創価学会公明党の組織票を都民ファーストに回す事に成功しました。創価学会公明党が候補者を立てていない、一人区・二人区では創価学会の組織票が都民ファーストに上積みされました。

さらに、本来は民進党の支持基盤である連合票の多くを取り込む事にも成功しました。
http://www.rengo-tokyo.gr.jp/html/togikai2017/suisen170622.pdf

劇場型政治によって浮動票を取り込むだけでなく、創価学会や連合といった組織票まで取り込んだ訳です。これだけ完璧にやれば負けるはずがないのです。

結果は当然、小池都民ファーストが史上かつてないくらいの圧勝に終わりました。ほとんどが新人議員の都民ファーストがここまで完璧に勝つというのは、小池という人物のすごさを感じさせます。

 

賃金が上がらない現状において

「人手不足でも賃金伸びず」が世界的な症候群に

 失業率が低下しているが賃金の上昇が遅く、物価の上昇ペースも緩やか、という現象が日本だけでなく世界的に起きている。

 欧州中央銀行(ECB)はユーロ圏の景気回復に自信を深めているが、賃金と物価が相互に影響を及ぼして上昇していく動きは、以前よりも弱いと首をかしげている。このため、6月8日の記者会見でマリオ・ドラギECB総裁は、早期の金融政策正常化を市場が織り込まないようにけん制した。

 一方、英国のインフレ率はイングランド銀行(BOE)の目標値2%を上回っている。だが、これは欧州連合(EU)離脱に関連するポンド下落による輸入価格上昇の影響が大きい。6月20日にマーク・カーニーBOE総裁は、賃金の伸びが弱いため、当面は政策金利を上げずに様子を見ると述べた。

 また、米国の失業率は17年ぶりの低水準を示している。インフレの過熱を予防するため、米連邦準備制度理事会FRB)は6月15日に今年2回目となる利上げを決定。さらに、FRB資産の縮小に関する基本方針も公表した。

 年内にもう1回の利上げと、早ければ9月にも資産縮小を開始しそうなニュアンスを、ジャネット・イエレンFRB議長は記者会見で醸し出していた。しかし、利上げ決定当日の朝に発表された5月の消費者物価指数(CPI)は相当弱かった。食品とエネルギーを除いたCPIの前年比は、1.7%に下落(1月時点は2.3%)。そこから家賃関連を除いたCPIは、わずか0.6%しか上がっていない。

 FRB幹部は、最近のインフレ率低下は、携帯電話料金や処方箋薬品の価格下落などの一時的要因によるもので、いずれ人手不足が賃金と物価を押し上げるという強気の見方を曲げない。しかし、米国の市場参加者の多くは「賃金や物価の状況を見極める方がいいのではないか」と心配している。

 景気拡大が続けば、基本的には人手不足が拡大して賃金は上昇するはずだ。ただし、近年のデジタルイノベーションの動きは、企業に省力化を促しつつ、賃金上昇を緩やかにしている可能性がある。米国の場合、4月時点の民間部門における平均時給の前年比伸び率は、3.2%だった。しかし、デパートなどの一般商店の伸び率は1.1%でしかない。米アマゾン・ドット・コムなどのインターネット通販に攻め込まれている小売業には賃上げの余裕がなく、人員削減も顕著だ。

 金融業界の雇用にもITの影響が及んできた。昨年、中国の国有4大銀行は社員数を1.8万人削減。スマートフォンによる資金決済の急速な普及で、営業店の仕事量が減少したことが主因とされる(中国紙「中国日報」)。日本の三菱UFJフィナンシャル・グループも、今後10年程度で社員の約7%に相当する1万人の削減を検討しているという(米通信社ブルームバーグ)。

 米シティバンクが昨年発表したレポートでも、銀行業界の正社員数は金融危機前のピーク時から2025年までに米国で40%、欧州で45%も減ると予測されている。

 現在は人手不足に悩みつつも、先行きはデジタルイノベーションの影響で人員カットが必要になるのではないかと警戒する日本企業は、少なからずあるだろう。非正規労働者や新卒採用者は別にして、既存の正社員(特にバブル期採用の中年世代)の顕著な賃金上昇は望みにくそうだ。人手不足の割に全体の賃上げペースは緩やかという現象はしばらく続きそうだ。

 (東短リサーチ代表取締役社長 加藤 出)

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170630-00133075-diamond-bus_all

(私の意見)--------------------------

この記事によれば、要は雇用状況が良いのに賃金が上がらない理由はITや人工知能やロボットなどの技術革新が原因ではないかと言っているのです。私も大体同意見ですが、現在は実は本当の意味で人手不足ではない状況であると考えています。

以前にも言いましたが、本当に人手不足であれば高度経済成長の時のように毎年10%以上の賃金上昇が起こっていないとおかしいのです。本当の意味での人手不足ではないとかんがえます。

また、失業率は低く、有効求人倍率は高いですが、以前に比べて非正規雇用などが増加して雇用が流動化しています。つまりいつでも首が切れる労働者が増えた結果、労働者に比べて経営者の立場が強くなりました。労働組合も弱体化していますし、連合も経団連と談合して賃上げ運動を全くやりません。組合員は何のために組合費を払っているのでしょう。これもなかなか賃金が上がらなくなった原因の一つではないかと考えています。

さらに記事のように、IT・ロボット・人工知能が色々な職場に入ってきていますし、これからはもっと入ってくることは避けられません。労働力の代替はロボットや人工知能が可能となっているのです。なかなか賃金が上がるはずもありません。

やはり私は国民全員に定額給付金ベーシックインカムの様な仕事をしなくても生活が出来る金銭給付を行うべきであると考えます。国民が働かなくても生活できる保証があれば、労働者に対して強くなってしまった経営者の立場に、対抗できる様になると思います。

 

平気で嘘をつく日経新聞

「ボーナスは貯蓄」43% 消費者庁調査、物価上昇を警戒

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS20H0Q_W7A620C1EE8000/

2017/6/26 20:33日本経済新聞 電子版

 消費者庁は物価の動きと消費意欲の関連を調べるため、ボーナスの使い道を把握するモニター調査を始める。夏と冬の2回、47都道府県で2000人を対象にする。第1回となった6月調査では、ボーナスの使い道は「貯蓄」が43.3%で最多だった。今後の物価上昇を予想し貯蓄で備える消費者が多かったようだ。

 今夏のボーナスの使い道は「貯蓄」が首位で、「旅行」(22.8%)、「ローンの支払い」(20.2%)が続いた。…

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上記は日経新聞の報道である。これを読んで、私は消費者が物価上昇を予測して貯蓄が増やすなんていう事はあり得ないと思ったので、その消費者庁の調査のソースを読んでみた。すると全く別の事が書かれていた。
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「減らそうと思って いる」と回答した人にその理由を聞いたところ、調査を始めた2013年10月以降、「所 得が減ると思うから」と回答した人が常に 最も多くなっています。賃金に改善傾向が みられた2015年以降も継続して50%台で推 移しており、将来の所得に対する不安から、 消費者の支出に対する姿勢は慎重な状態が 継続していると考えられます。

http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/pdf/2017_whitepaper_0003.pdf

62ページ参照 3枚目

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(私の意見)

消費者庁が出したレポートには、消費者は「所得が減ると思うから」消費を減らそうと回答しているのが最も多いです。ところが日経新聞は消費者は「物価が上昇するから貯蓄する」と回答していると嘘の報道をしているのです。

これは、日経新聞インフレターゲット政策を阻止したいために、嘘の報道をしているのだと考えます。日経新聞はそこまでして日本をデフレのままにしておきたいのです。日経新聞は日本経済をデフレに追い込んで衰退させたいのです。全く悪質です。