貨幣発行が財源調達としてもっとも有利な方法
前回の話の続きをします。
例えば、あなたが封建領主だったとします。領民を支配していたとします。あなたは贅沢をしたくなりました。
その財源はどのように調達しますか。3つの方法があります。
①租税を徴収する。
②国債を発行する。
③貨幣を発行する。
これまでの私のブログを読んでいただだいた方ならば、分かると思いますが、「③貨幣を発行する」がもっとも賢明な方法だと思います。
「①租税を徴収する」は権力者とはいえ、領民から奪い取ってくるわけですから、領民に嫌われますし、賢明な方法とはいえません。そんな事をやっているとルイ16世みたいにギロチンにかけられます。
「②国債を発行する」は国債を買ってもらうために買ってくれる商人とかに頭を下げたりしなくてはならなくなり、自分の権威や権力が脅かされる事になりますのでやはりあまり賢明な方法とはいえません。
「③貨幣を発行する」なら、領民から財やサービスを奪うのではなく、購入するわけですから、自分が顧客になるわけですから領民には喜んでもらえますし、もっとも賢明な方法だと言えると思います。
以前のブログで徳川綱吉や徳川家斉を取り上げました。彼らは、貨幣改鋳という方法で、貨幣を発行して、江戸の町人からから財やサービスを購入したのです。そうしたら、江戸の町人達は好景気になって繁栄を極めたのです。
デフレ、つまり供給力が需要を上回る場合には、権力者が無駄遣いをした方が、景気が良くなって、庶民は潤うのです。
一方で、現代の政治家や役人達は財源が足りなくなると、すぐに消費税の増税とか租税によって調達することばかり考えます。あまりにも愚かと言わざるを得ません。
貨幣の発行という方法を忘れているようです。貨幣の発行という方法に政治家達が気がつけば、財源不足という事で停滞している様々な問題が解決するのです。
経済学は実は単純な学問
経済学というのは実はものすごくシンプルな学問なんです。
わざわざ数学を使ったりだとかして難しく論じているだけなんです。そうしないと経済学者という連中が単純な事をやっているだけのくだらない連中だという事がバレてしまうためにいかにも難しい事をやっていると思わせているだけかもしれません。
例えば、政府が財源を調達したいとします。3つの方法があります。
①租税を徴収する。
②国債を発行する。
③貨幣を発行する。
①と②は御存知だと思います。しかし③については知らない人が多いのです。
実は硬貨は政府が発行する貨幣であり、③なんです。
紙幣についてはどうなのでしょうか。それは、政府が国債を発行して、その発行した国債と同額を日銀が買い取り日銀券を発行すれば、③と同じになります。
何でこんな複雑なシステムを作ったのでしょうか。これでは一般の人にはなかなかわかりずらいです。
これは、実はユダヤの陰謀と関係があると考えています。
政府は通貨発行権という権力をユダヤ金融資本によって実質的に奪われたという歴史的背景があるのです。
その辺はそのうち論じたいと思います。
貨幣について
蟻や蜂の世界で働き蟻や働き蜂は何の報酬も受け取らずに労働をする。本能がそのように設定されているからだ。しかし、人間が労働する場合には対価としての貨幣というものが必要となる。貨幣が発明される前は物々交換であった。やはり人間の欲望が複雑で種類が多様になればなるほど貨幣は多く必要とされる。
貨幣は人類を発展させてくれて偉大な発明品である。この貨幣が人間社会が必要とする量より少ない状態をデフレといい、多過ぎる状態をインフレという。私はインフレよりもデフレとのほうがはるかにデメリットが大きいと考えている。
物々交換の社会では人々の欲望の需要と供給を一致させることが困難であるため、人間の単純な欲望しか満足させることが出来ない。例えば、野菜を作る人と魚を取る人が交換して双方が満足する事はかろうじて出来る。しかし、野菜や魚は腐敗もするし交換は時間的な一致をしなければならない。さらに、メイドの服を着た女性にオムライスを食べさせてもらうサービスを物々交換で満足させることは極めて困難であろう。
もしロボットやコンピューターが全ての財やサービスを生産する社会が実現できたら、共産主義者が理想とする社会は実現できるかもしれない。ロボットやコンピューターなら貨幣を与えなくとも人間の欲望に答えてくれるからだ。
貨幣というのは人類の偉大な発明品である。日本では和同開珎が使われたのが始めてと言われている。しかし、貨幣はこれだけの歴史があるのに全ての人々が満足するまで普及しない不思議なものである。
財政出動も金融緩和も両方とも必要
財政出動派と金融緩和派(リフレ派)の対立というのがあります。
ちなみにリフレいわゆるリフレーションの本来の意味は金融緩和だけでなく財政出動も同時に行う事を意味する言葉だったはずなのですけど、何故か最近の議論を聞いているとリフレ派というのは、金融緩和派という意味になってしまった様です。
私は、財政出動派と金融緩和派の対立というのはかなり不毛な議論だと考えています。
これまでのブログを読んでいただければ分かると思いますが、私は財政出動も金融緩和も両方必要という考えです。
いわゆる財政出動派は三橋貴明さんや藤井聡内閣参与などで、金融緩和派は上念司さんや浜田宏一内閣参与などです。(両者ともたくさんおりますが、挙げたらキリがないので省略します)
私の師である丹羽春喜先生は、
「大学で近代経済学を学んだことのある人なら、必ず一度は耳にしたことのあるケインズ経済学の古典的名著、ラーナーの『雇用の経済学』の第一章を思い出してください。そこには、
〈景気振興のための政府支出のためのカネは、どこからくるのか? それは印刷機からくるべきなのだ!(中略)租税や 国債からくるのではない。租税や国債は、ただ総支出(総需要)を調節するための手段でしかないのだ〉
と書いてあったはずです。」
http://www.yuuai.sakura.ne.jp/home3/antiroths.html
と言っています。
要は、景気対策のための財政出動は当然必要です。さらに、その財源は政府紙幣の発行で行われるのがもっとも優れた手段であり、これは日銀に国債を保有させて財源を調達するのと同じ事です。
財政出動だけでも、金融緩和だけでも片手落ちなのです。
2013年以来、アベノミクスが行われましたが、財政出動も金融緩和も両方行う予定でしたが、金融緩和については大規模に行われたものの、財政出動は2013年度こそ行われたものの、その後は消費税の増税等(財政支出の減らされたり、社会保険料なども毎年上がっています)により縮小です。ですから財政出動は行われなかったに等しい状況です。
財政出動派の三橋貴明氏は金融緩和派の岩田規久男日銀副総裁に対して、「インフレ2%達成出来なかったのだから、責任取って、副総裁を辞職せよ。」とまで言っていますが、それは言い過ぎだと思います。
日銀の黒田総裁や岩田副総裁はかなり頑張ったと思います。もし、日銀の金融緩和が無くて、民主党時代の1ドル70円代という超円高状態があと何年か続いていたら、日本の主要企業は産業競争力を失って、外資の手に落ちていたでしょう。
アベノミクスで良い経済指標もかなり出ています。
失業率は1995年以来の低水準ですし、有効求人倍率は1991年以来の高水準です。もちろん、過去のブログで述べた通り、非正規雇用が増えているなどの問題もあります。しかしながら、金融緩和を行なっていなかったらもっとひどい状態だったでしょう。
あるいは、倒産件数もバブル期以来の低水準です。
http://www.tsr-net.co.jp/news/status/half/2016_1st_02.html
企業収益や株価も民主党時代に比べればかなり良いです。
金融緩和はかなり効果を上げているのは事実なのです。
ただ私は財政出動も大規模に行なっていれば、もっと経済は良くなっていたと考えます。私は、財政出動派と金融緩和派は対立するのではなく、両者が協力していくべきですし、やはり両方とも必要なのです。
マクロ経済に道徳論を持ち込む愚かさ
私の主張は一見すると、非常識で不道徳な主張をしている様に見える。
「政府が無駄遣いした方が経済が成長する」
「国民が怠け者になった方が経済が成長する」
「倹約家の君主よりも浪費家の君主の方が経済を成長させた」
こういう主張をすると怒ってくる人もいます。マクロ経済に道徳論を持ち込んでしまう人が非常に多いので、政策として実現するのが難しいのです。だからなかなか景気が良くならないのかもしれません。
また私は、ベーシックインカムの様な無条件で国民にお金を給付する政策を主張しています。これに対しても不道徳な主張をしていると感じる人が多いのですよね。
人によっては、政府の財源を税金によらず、通貨発行権を行使する事に対しても不道徳だと感じる人もいるのですよね。
明治維新の指導者に由利公正という人がいます。彼が太政官札の発行を主張したのです。私はこの政府紙幣の発行による財源調達が無ければ明治維新は確実に失敗していたと考えています。しかし彼は明治維新の指導者の中で変わり者だと思われていたそうです。明治維新の指導者というのはいわば革命家ですから、変わり者の集団です。その変わり者の中でも変わり者と思われていたのです。
これを考えると私の主張が政策として実現するのは相当難しいのでしょうね。
国民が怠け者の国の方が経済が強い
36位 ドイツ 1371時間
35位 オランダ 1425時間
34位 ノルウェー 1427時間
33位 デンマーク 1436時間
32位 フランス 1473時間
31位 スロベニア 1561時間
30位 スイス 1568時間
29位 スウェーデン 1609時間
28位 オーストリア 1629時間
27位 ルクセンブルク 1643時間
26位 フィンランド 1645時間
25位 オーストラリア 1664時間
24位 英国 1677時間
23位 スペイン 1689時間
22位 カナダ 1704時間
21位 日本 1729時間
20位 イタリア 1734時間
19位 ニュージーランド 1762時間
18位 スロバキア 1763時間
17位 チェコ共和国 1776時間
16位 米国 1789時間
15位 アイルランド 1821時間
14位 リトアニア 1834時間
13位 イスラエル 1853時間
12位 ポルトガル 1857時間
11位 ハンガリー 1858時間
10位 エストニア 1859時間
9位 アイスランド 1864時間
8位 ポーランド 1923時間
7位 ラトビア 1938時間
6位 ロシア 1985時間
5位 チリ 1990時間
4位 ギリシャ 2042時間
3位 韓国 2124時間
2位 コスタリカ 2216時間
1位 メキシコ 2228時間
https://zuuonline.com/archives/101654
これはOECD加盟国いわゆる先進国クラブの2014年の年間平均労働時間の統計です。OECDの統計ですので正確性は高いと思います。
私はこの統計を見て結構、驚きました。
勤勉だと言われているドイツが1,371時間で労働時間が一番短いのです。スイス人も勤勉と言われていますけど、1,568時間で結構短いですね。
逆に、ギリシャの経済危機の時に報道では「ギリシャ人は怠け者だから経済が破綻した」という様な言われ方がなされました。しかし実際は2,042時間でOECD諸国で4位の長さです。
一般的には国民が勤勉な方が経済力は強いと思われています。しかしこの統計を見ると経済が強いと言われている国が労働時間の短い国になっていますね。逆に経済が弱いと言われている国の方が労働時間の長い国になっています。
この統計を見て色々な受け取り方があると思います。しかし国民が勤勉だと経済が強いとか 、国民が怠け者だから経済が弱いとかいうのは嘘だと思いました。
もしかしたら、労働時間とGDPは逆の関係が成り立つのではないかと思いました。
以前に述べましたが、私は国民が怠け者になった方が経済が成長するという考えを持っています。
労働供給量の増加→賃金の低下→購買力の低下→消費の低下→GDPの低下
労働供給量の減少→賃金の上昇→購買力の上昇→消費の増加→GDPの増加
となっているのではないかと考えいます。この統計はそれを裏付けていると思います。
日本政府も有給休暇取得の推進とか残業の制限とかいった事は行なっている様です。しかし実態はなかなか上手くいっていない様です。
日本の中小企業などでは、完全週休二日制ですら、なかなか完全実施がなされていない状況です。私は、週休三日制の導入とか1日の労働時間を6時間以下にするとか、大胆な労働規制の強化を図って、労働時間を世界一短い国にするべきと考えます。
そうすれば上記のプロセスでGDPの上昇、つまり経済成長がおこると考えます。