愛国者のための経済ブログ

丹羽春喜先生小野盛司先生に学びました。経済を中心に論じて行きたいと思います。ヘリマネを財源ととするベーシックインカムによるデフレ脱却を目指しています。

日銀は米国債を大量購入するべき

 トランプ次期米政権では、かつてない日米緊密、米中緊張の構図になりそうだ。米金融市場の中国マネー依存が薄れたために、日本の金融協力を支えにしたトランプ・チームは選挙公約通り、対中強硬策に打って出られるからだ。

 米国は圧倒的な軍事力を誇る覇権国家だが、弱点がある。世界最大の債務国であり、外部からの資本流入に依存せざるをえないのだ。今年6月末の米国の対外純負債は8兆ドルであるのに対し、世界最大の債権国、日本は3・1兆ドル、中国はドイツとほぼ同水準の1・7兆ドルの対外純資産を持つ。ドイツは足元のユーロ金融市場を下支えするのに手いっぱいだから、米金融市場は日本と中国からの資金によって支えられている。

 グラフは、日中の対米貿易収支と米国債保有の推移だ。中国の貿易黒字が2001年以降、急膨張しているのに比べて、日本の方は縮小傾向をたどっている。中国は貿易収支黒字分の一部を米国債購入に充当し、08年には日本を抜いて最大の米国債保有国になった。

 同年9月15日のリーマン・ショックでパニックになったポールソン財務長官(当時、以下同)は中国の王岐山副首相に電話をかけ、経営危機の金融大手モルガン・スタンレーへの出資を打診した。脈があるとみれば、ブッシュ大統領胡錦濤国家主席との電話会談をセットするつもりだったという(ポールソン氏の回想録から)。

 救済交渉は不発に終わったが、ワシントンは北京に米国債購入を求め続けた。09年1月に発足したオバマ政権のヒラリー・クリントン国務長官は翌月に訪中、中国政府首脳と米国債購入条件を詰めた。クリントン氏は中国の人権侵害を一切口にせず、ひたすら下手に出たが、側近には「米国債のお客さんにへりくだるなんて」とぼやいた。北京は米国債を買い増しし続け、金融不安におののくオバマ政権とウォール街を安堵(あんど)させた。

 以来、オバマ政権は北京に頭が上がらないままで、中国の南シナ海への進出や北朝鮮への国連制裁無視などに対して弱腰対応で終始してきた。さらに15年11月には習近平国家主席が執念を燃やしてきた人民元国際通貨基金IMF)・特別引き出し権(SDR)入りにも応じた。「国際通貨人民元」をテコにアジア全域を中国の勢力圏に取り込もうとする北京に対し、オバマ政権は無抵抗だった。

 グラフに戻ろう。米国の対中貿易赤字は膨張の一途で、最近でも米貿易赤字総額の5割近くを占めているのだが、米国債保有額は減少に転じ、日本の保有額と並んだ。

 国債を含む米国の証券投資収支(購入と売却の差額)は、中国は最近、年間で1200億~1300億ドルの純売却になっており、その5割近い分を日本の純購入で埋めている。中国は対米貿易黒字で年間約3500億ドルを稼いでいるが、それを米市場に還流させるどころか、さらに米市場から投資を引き揚げている。不動産バブル崩壊不安が漂う中国からの巨額の資本流出に伴い、北京当局が外貨準備のドル資産を売って、人民元を買い支えざるをえなくなっている。

 ワシントンは中国の金融パワーに頭を下げる情勢ではなくなった。大統領選でオバマ路線を継続し、中国に接近するクリントン氏が敗れ、路線をひっくり返すトランプ氏が勝つだけの大変化が米金融市場に起きたのだ。

 トランプ氏は、北京が人民元相場を低めに操作して対米輸出を増やし、米国の中間層から雇用機会を奪っていると非難、「中国製品に45%の制裁関税をかける」と息巻く。最近のツイッターでは、米企業の競争力が損なわれる人民元の切り下げと、南シナ海での巨大な軍事施設の建設を並べ立てて引き合いに出し、「中国が米国に対し、そうしてもよいかと尋ねたのか。俺はそうは思わない!」と書き込んだ。トランプ氏は経済、軍事の区別なく、中国の脅威に立ち向かおうとしている。正論だ。

一方、日本の対中経済政策はこれまで、官僚の縦割りの弊害でまとまりを欠いていた。通貨を縄張りにする財務省は親中派が多数を占め、人民元のSDR化に賛同した。外交・安全保障を仕切る外務省は経済音痴で、ワシントンの意向次第だ。通貨、貿易を原動力として軍事的脅威をアジアにまき散らす中国共産党の仕掛けに関し、日本の官僚は気に留めなかった。

 安倍晋三政権はこの機を逃してはならない。通貨と安全保障を一体にした対中戦略でトランプ次期政権と足並みをそろえるチャンスである。

http://www.sankei.com/world/news/161211/wor1612110007-n5.html

 

〈私の意見〉

産経新聞の田村秀男さんの記事の引用です。長い引用で何を言っているのか意味が分からないかもしれません。この記事の重要なところは、米国債を買ってもらうために中国に対してアメリカが頭が上がらなくなっているというところです。それがアメリカの安全保障政策の弱腰にも影響を与えているという事です。

そこで私は日銀が大量にアメリカ国債を購入するべきであると考えます。規模としては、日本円で少なくとも年間数10兆円規模、場合によっては年間100兆円を超える規模を購入してもいいと思います。日銀は年間日本国債を80兆円購入している事を考えればそれほど大きな規模ではない事が分かると思います。それはアメリカの利益になるだけでなく、日本の国益にもなります。

日銀が国債を80兆円購入している事で、債券市場から日本国債が枯渇して来た中で、「日銀による外債購入が検討されている」というニュースが流れました。仮に日銀が米国債を大量購入するという流れになれば、世界経済に影響を与えるだけでなく、日米同盟や中国に対する安全保障にも当然、影響を与える話です。

日銀が米国債を大量購入するとなると、日本にとっては円安要因になります。私は円安論者ですので、国益になると考えています。円安は輸出が有利になり、輸入品が入りずらくなりますので、日本の産業にとっては当然プラスになります。

アメリカにとっては、債券市場における金利高騰を抑える事が出来ます。これはアメリカにとってメリットになります。現在、トランプが大規模な財政出動を行うとの予測で、株高・ドル高・金利高となっています。トランプの財政出動は素晴らしいのですが、金利高という副作用も起こります。日本が米国債を大量購入する事でこの金利高騰を抑える事が出来ます。

安全保障的には、アメリカが中国に頭を下げる必要が無くなります。日本が米国債を大量購入するとなれば、日本はアメリカに恩を売る事になり、日米同盟の強化にも繋がり、また日本のアメリカに対する外交力も増します。

つまり日銀が米国債を大量購入する事は、日米双方の利益になり、特に日本の利益になります。