愛国者のための経済ブログ

丹羽春喜先生小野盛司先生に学びました。経済を中心に論じて行きたいと思います。ヘリマネを財源ととするベーシックインカムによるデフレ脱却を目指しています。

高橋洋一氏の主張は誤魔化しているか、馬鹿かのどちらかである

高橋洋一霞ヶ関ウォッチ リフレ派とMMTは別物 見え隠れする財務省の目論見

5/9(木)17:00配信

 

 MMT(現代貨幣理論)という言葉が、新聞やテレビでも取り上げられるようになっている。そうした報道(たとえば201957日記事)によれば、政府が膨大な借金を抱えても問題はないと説いている「理論」だ。

 

 この考え方は、アメリカの主流経済学者からは批判されている。筆者も、文献を読んだが、さっぱりわからない。通常の経済理論は、誤解のないように数式モデルで構成されているが、MMTには雰囲気の記述ばかりで、まったく数式モデルがないからだ。アメリカの主流経済学者もおそらく筆者と同じ感想であり、論評する以前の問題だろう。一般の人には数式の有無は関係ないだろうが、専門家の間では問題である。例えば、相対性理論を数式なしで雰囲気で説明することはできるが、数式なしでは正確なGPSは作れない。

 

リフレ派には数式モデルがある

 

 一方、日本では、筆者を含め経済学者の一部はリフレ派といわれる。筆者は、これまで統合政府では財政再建の必要性はないとか、インフレ目標までは財政問題を気にする必要はないなどと主張してきた。

 

 リフレ派は今から二十数年前に萌芽があるが、筆者らは、世界の経済学者であれば誰でも理解可能なように数式モデルを用意してきた。興味があれば、岩田規久男編『まずデフレをとめよ』(2003年、日本経済新聞社)を読んでほしい。数式モデルは、(1ワルラス式、(2)統合政府、(3インフレ目標で構成されている。

 

 これらのモデル式から、どの程度金融政策と財政政策を発動するとインフレ率がどう変化するのかが、ある程度定量的にわかるようになっている。この定量関係は黒田日銀で採用されている。

 

 リフレ派は数式モデルで説明するので、アメリカの主流経済学者からも批判されていないどころか、スティグリッツクルーグマンバーナンキらからは概ね賛同されている。

 

 しかし、日本では、リフレ派の主張は、しばしばMMTの主張と混同される。筆者からみると、MMTで数式モデルがないのでどうして結論が出てくるのかわからない。

 

 冒頭で紹介した新聞報道の中で、「日本政府の借金が仮に5000兆円になっても全く問題ない」という件がある。リフレ派の数式モデルでは、そうなるとインフレ率1000%程度になり、大問題になる。それを指摘すると、MMT論者はインフレになるまで借金をするという意味だといってくる。しかし、これもおかしい。インフレ目標2%以内という条件なら、借金5000兆円になるまでは数十年を要する話だ。数字があまりに非現実すぎるのだ。

 

 

MMT定量的な議論に弱い

 もっとも、財務省にとって、日本でMMTとリフレ派が混同されるのは好都合だ。MMTアメリカ主流経済学者が否定し、しかも定量的な議論に弱い。つまり、財務省にとっては突っ込みどころ満載なのだ。

 

 一方、リフレ派の議論は、アメリカ主流経済学者も賛同するし、定量的な議論の上に、財政再建は終わっているとか、財務省にとって目障りだ。

 

 財務省からみれば、MMTを潰せば、リフレ派も自動的に抹殺できると思っているフシがある。

 

 財務省にとって最大の悲願は、今年10月に予定されている消費増税を何がなんでも実施することだ。国内・世界経済情勢は、先行き不安があり、消費増税には不利になりつつある。その中で、筆者の邪推だが、財務省は消費増税のために理論武装が弱いMMTを標的にし、それとともにリフレ派も葬り去りたいのかもしれない。

 

++ 高橋洋一プロフィール高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「この数字がわかるだけで日本の未来が読める」(KADOKAWA)、「日本の『老後』の正体」(幻冬舎新書)など。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190509-00000008-jct-bus_all&p=2

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(私の意見)

高橋洋一氏はMMT(現代貨幣理論)が分からないと言っている。それは高橋洋一氏が誤魔化しているのか、あるいは馬鹿だからである。

 

世間は財務省の元キャリア官僚出身というとなんとなく頭が良いと無条件に信用してしまう。財務省の官僚は実はマクロ経済学の専門家ではない。財務省の行政(主計局、主税局、関税局等)の専門家なのである。経済学は実は素人なのである。

 

ですから高橋洋一氏は聞きかじった知識で経済を論じているように思える。世間はそれを財務省の元キャリア官僚という肩書きがあるだけで信頼できるものだと思ってしまう。また高橋洋一氏は一貫した考え方はなく、状況の変化で意見を変える(世渡り評論家)と言ってもいい。

 

かつて高橋洋一氏の定義ではリフレ派は金融緩和だけで経済政策は十分であると言っていた。いつのまにか財政出動も必要だという理論に変化してしまった。かつて発言の動画は次々を消してしまって、誤魔化しているように思う。一貫しているという点に関しては、三橋貴明氏の方がはるかに一貫している。

 

MMTは数式による説明など必要ない。オーソドックスなマクロ経済学の考え方である。デフレの場合には、金融緩和と財政出動の両方を行い、需要に対して供給力が上回る部分を埋めるという考え方である。まさに高橋是清が昭和恐慌の時に行い、貧困救済を行った政策である。

 

国債の発行高というのは、そもそもどうでもいい話なのである。重要な事は国家の供給能力に対して、それに対応する需要にするように需要喚起をするだけなのである。