愛国者のための経済ブログ

丹羽春喜先生小野盛司先生に学びました。経済を中心に論じて行きたいと思います。ヘリマネを財源ととするベーシックインカムによるデフレ脱却を目指しています。

6年間の超金融緩和政策の評価

日銀の超金融緩和が7年目に突入、出口がますます見えない事情

4/4(木) 6:01配信

 

 「賃金や報酬はこの数年で顕著に上昇した。単位当たりの労働コストはインフレを超えて上昇している。それがインフレにつながらない。理論的にはそれは企業のマージンを圧縮し得るため、永久には続かないのだが」

 

 米連邦準備制度理事会FRB)のジェローム・パウエル議長は、320日の記者会見でそう語った。米国でも少し前までは賃金上昇ペースが景気回復の割に高まらないといわれてきた。

 

 しかし、激しい人手不足を反映して、さすがに平均賃金はリーマンショック前の好況期に近い、高い伸びを示すようになってきている。それなのにFRBが重視するインフレ指標は2%を下回った状態がしばらく続きそうなのだ。

 

 パウエル氏が言うように、その持続性には限界がある。インフレがどこかで加速し始めたり(その場合、FRBは利上げを再開するので金融市場は大騒ぎになる)、米経済の失速とともに賃金の伸びが落ちてきたりする可能性もある。

 

 ただいずれにしろ、かつてよりも「賃上げ物価上昇」という関係はシンプルには表れにくくなっている。グローバリゼーションやデジタル革命の影響もあるだろう。

 

 これは日本銀行にとって、FRB以上に悩ましい話といえる。日銀はインフレ率が2%を安定的に上回るまでマネタリーベースを増加させ続ける(つまり超金融緩和を続ける)と宣言しているからだ。

 ゴールは2%前後ではなく、それを上回った状態なので、日銀はこの宣言を「オーバーシュート・コミットメント」と称している。だが、日本よりも景況感ははるかに強く、しかも日本よりしっかりと賃金も伸びている米国でさえ上述のような状況なので、日銀の「オーバーシュート・コミットメント」の達成は全く見えてこない。

 

 この44日で日銀の超金融緩和策は7年目に突入する。2年でインフレ目標を達成できなければ責任を取って辞任するとまで言っていた岩田規久男元副総裁は、退任後の最近のインタビューで次のように述べている(「西日本新聞217日付)。

Q:「物価は2%に届くか」

A:「届かないだろう。少子高齢化が進み、現役世代は老後の年金に頼れないと感じている。貯蓄に励まざるを得ない。消費が弱すぎるので、企業も設備投資や賃上げができない」

Q:「追加緩和はできるか」

A:「銀行がつぶれる恐れがあり、金融政策の深掘りはできない。金融政策と政府の財政政策が協調する必要がある」

 

 つまり、日銀が今の超緩和策を粘り強く継続しても、それだけではインフレ目標達成は困難であることを、リフレ派の代表的人物ですら認める状況になっている。

 

 しかし、深刻なのは世界経済の減速懸念と相まって、超緩和策の出口がますます見えなくなってしまった点にある。麻生太郎財務相はいみじくも315日に、「(インフレ率)2%にこだわり過ぎるとおかしくなる」「2%に上がらなかったからけしからんと言っている国民はいないと思う」と述べた。

 

 安倍晋三首相はそこまで踏み込んだ見方はしていないので、日銀が2%目標の「看板」を下ろす確率は低い。しかし、日銀によって金利水準が短期から10国債までマイナス圏に沈められた状況が長期化すれば、日本の金融システムは不安定化し、それが地方経済の悪化を加速させる恐れが強まる。

 

 せめて政策運営の柔軟性を高める工夫を日銀は模索すべきである。

 

 (東短リサーチ代表取締役社長 加藤 出)

日銀の超金融緩和が7年目に突入、出口がますます見えない事情(ダイヤモンド・オンライン) - Yahoo!ニュース

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(私の意見)

超金融緩和政策は7年目に、そしてマイナス金利政策は4年目に突入しようとしていまう。

 

私は基本的にこの政策は成功だったと思っています。失業率は2.3%の最低水準、有効求人倍率も最高を記録しています。そして徐々にではありますが、賃金も上がり始めました。

 

ただリフレ派と呼ばれる人達は、最初は国債を日銀が買いまくればインフレが起こると思っていたようです。しかしもはや日銀が国債50%近くを買ってもインフレが起こりません。その点は日本のデフレの根深さを甘く見ていたようです。

 

私はたとえ銀行業界に犠牲が出ようともマイナス金利政策は正しいと思っています。しかしそれに加えて大規模な財政出動が必要なのです。

 

高橋是清は大規模な財政出動と超金融緩和を行いました。それにより貧困救済を行い、高い経済成長を実現しました。

 

しかし今の日本には大規模な財政出動に対して抵抗する勢力があまりにも多いです。ですから長期のマイナス金利政策は次善の策としてやむ得ないものかもしれません。しかし、大規模な財政出動も同時に出来る事が理想です。