愛国者のための経済ブログ

丹羽春喜先生小野盛司先生に学びました。経済を中心に論じて行きたいと思います。ヘリマネを財源ととするベーシックインカムによるデフレ脱却を目指しています。

マネーストックと名目GDPの伸びの乖離について

                                    マネーサプライとマーシャルのkの推移

 

M2CD(兆円)

名目GDP(兆円)

マーシャルのk

70

48

73

0.7

78

162

204

0.8

84

272

305

0.9

88

394

382

1.0

89

433

410

1.1

90

483

442

1.1

91

501

469

1.1

93

509

487

1.0

01

647

506

1.3

05

697

524

1.3

10年

767

500

1.5

15年

895

532

1.7

18

992

557

1.8

 

今回はマネーストックと名目GDPの比較してみて、金融政策の効果について考えてみたい。(上記の数値は統計の訂正とかもあったので正確性に欠けるかもしれない。おおよそで見てもらいたい。)

 

基本から入りますがマネーストックとは、社会に出回っているお金の総量(金融機関と中央政府保有するお金を除く)になります。(現在は一般的にM3という郵貯銀行を加えた数値を一般的に使用していますが、ここでは過去との連続性を考えてM2CDを使用します。)

 

名目GDP(国内総生産)とは、国内の生産活動による商品・サービスの産出額から原材料などの中間投入額を控除した付加価値の総額の事です。

 

マーシャルのkとはマネーストックから名目GDPを割った数値の事を言います。

 

上記の統計を見て分かる事は、失われた20年とか30年とか呼ばれている期間に名目GDPの伸びは悪いですが、マネーストックの伸びはそれなりに伸びているということです。

 

これは日本全体のお金の量は伸びているにもかかわらず、そのお金が財やサービスの購入には使われていないという事を示しています。これは国民の預金通帳の残高やマネーゲームに使われる金額は増えているにもかかわらず、国民の豊かさを生み出すGDPが増えていないという事です。

 

この点については経済論壇で議論になっていない話ですが、かなり重要な事でないかと思います。

 

ちなみにこれは経済コラムマガジンの著者の論文から思考に至りました。

http://www.adpweb.com/eco/eco342.html

 

(余談ですが、経済コラムマガジンの更新が最近止まっています。ご病気にでもなられたのか、それとも不幸になられたのか。)

 

経済コラムマガジンの著者はこの理由について日本は土地の取引金額が大きいために景気対策をやってもいわゆる真水になる経済効果が少なくなってしまうと推測しています。

 

要は、政府が景気対策に公共事業をやったとします。その事業が1億円として、たいてい建設費用が8,000万円くらいで、土地の購入費用が2,000万円くらいです。

 

この場合、8,000万円は経済効果を生みますが、2,000万円については経済効果を生まないのです。つまり労働等の事業による所得はそれがさらに消費されて経済効果を生むのですが、土地が売れた場合などの資産所得は経済効果を生まないのです。

 

私はこの考え方についてかなり正しいと思います。

 

いずれにしてもマネーストックと名目GDPの伸びの乖離について経済論壇でもっと活発に議論されて良い話だと思います。