経営学と経済学の目的は真逆である場合が多い
日本経済が良くならない原因の一つとして経営学と経済学を混同してしまう人が非常に多い事が挙げられます。
経営学の目的は会社の繁栄、つまり利益を増やす事である。利益を増やすには売上を増やし、費用を減らす事である。あるいは入ってくるキャッシュと増やし、出て行くキャッシュを減らす事である。
経済学の目的は国家国民の繁栄、つまり、GDPを増やす事である。GDPとは政府と民間の財やサービスの購入額の事である。
経営学と経済学の目的は全く逆になる場合が多いのである。例えば、民間企業が費用を減らそうと行動する事は、経費の削減やリストラを行う事である。経営学的には、正しい行動である。しかし、経済学的にはそれは財やサービスの購入額を減らす事に他ならないのであるからGDPを減らす事なのである。
政府の運営を経営学的に考えてしまう人が非常に多いのである。つまり政府が増税して、歳出を減らすこと、政府が入ってくるキャッシュを増やして、出て行くキャッシュを減らす事が正しいと思ってしまう人が非常に多いのである。
私はかつて成功した経営者が政治家になると国益にならない場合が多いと論じた事があります。これは経営学と経済学の目的が真逆である場合が多いからである。成功した経営者というのは、成功者の自信というか、今までの方法やってきて成功してきたから、固定観念が強いのである。成功した経営者というのはなかなか発想の転換が難しいのである。
これにあたるのが、土光敏夫や松下幸之助がです。土光敏夫は政府の赤字解消ばかり主張して、日本経済を悪化させた人物です。松下政経塾出身の政治は、経済を経営学的に考えてしまう政治家が非常に多いです。松下政経塾の教えが、経営学的発想だったからだと思います。松下政経塾出身の政治家は出世のテクニックには長けていますが、経済学的な発想ができません。代表的な政治家は野田佳彦前総理です。
そもそも政府や中央銀行は通貨発行権を持っています。ですからデフレ下においては、もっともっと減税して、無駄遣いをして財政赤字を増やした方がいいのです。多くの人はなかなかそういう発想が出来ないようです。