愛国者のための経済ブログ

丹羽春喜先生小野盛司先生に学びました。経済を中心に論じて行きたいと思います。ヘリマネを財源ととするベーシックインカムによるデフレ脱却を目指しています。

マクロ経済的にも生活保護は積極的に活用した方がいい

貧困状態なのに…生活保護を利用しない人が多い理由
7/4(火) 12:12配信
読売新聞大阪本社編集委員 原 昌平
 日本の生活保護で最も大きな問題は何でしょうか。貧困状態なのに、利用していない人がたいへん多いことだ、と筆者は考えています。

 生活保護では、世帯の人数、年齢、地域に応じた最低生活費を算出し、それに医療費など個別事情によって必要な費用を加えた額が、その世帯の生活保護基準額となります。それより収入が少なく、利用できる資産を加えても足りないときは、保護を利用できます。


 生活保護基準を下回る経済状態の世帯のうち、現実に生活保護を利用している割合を「捕捉率(ほそくりつ)」と呼びます。社会のセーフティーネット(安全網)である生活保護制度が、その対象になりうる世帯をどれぐらいキャッチしているか、という意味です。

 厚生労働省の推計でも研究者の推計でも、捕捉率は、所得だけで判定すると1~2割、資産を考慮しても2~3割にとどまります。残りの7~8割は、とても貧しい生活水準に置かれているわけです。憲法25条の定める生存権(健康で文化的な最低限度の生活を営む権利)の保障が行き届いていないと言わざるを得ません。

所得が保護基準に満たないのは705万世帯…厚労省推計
 厚労省は、民主党政権だった2010年4月、生活保護の捕捉率の推計を初めて公表しました(同省ナショナルミニマム研究会第8回資料「生活保護基準未満の低所得世帯数の推計について(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/04/dl/s0409-2d.pdf)」)。

 この推計は2種類の統計データをもとに計算されました。そのうち総務省の「全国消費実態調査」(2004年)は、回答するのに家計簿をつける労力がかかり、低所得世帯の割合が低く出る傾向があると指摘されています。そこで、より信頼度が高いと考えられる厚労省の「国民生活基礎調査」(2007年)をもとにした数字を示します。

 この時点の世帯総数(A)は4802万世帯でした。そのうち、所得が生活保護基準に満たない低所得世帯(B)は、597万世帯(12.4%)でした。それに「貯蓄が保護基準の1か月未満で住宅ローンなし」という条件を加え、資産も考慮した保護基準未満の低所得世帯(C)は、229万世帯(同4.8%)となりました。

 当時の生活保護世帯数(D)は108万世帯です。保護を利用している場合、保護基準ちょうどの収入額、あるいは勤労収入があれば保護基準を若干上回る収入額になるので、生活保護世帯は、保護基準「未満」の低所得世帯(BやC)には含まれません。

 したがって、保護基準「以下」の世帯数を出すには、保護世帯数を加える必要があります。所得のみで判定した保護基準以下の世帯数(B+D)は、705万世帯(全世帯の14.7%)、資産も考慮した保護基準以下の世帯数(C+D)は、337万世帯(全世帯の7.0%)になりました。

所得のみで15%、資産を考慮して32%の捕捉率?
 現実の保護世帯数を、保護基準以下の世帯数で割った数字は、次の結果です。

所得のみで判定した場合   D/(B+D)=15.3%

資産も考慮して判定した場合 D/(C+D)=32.1%

 親族の援助など他の要素もあるので、正確な意味での捕捉率にはならないと厚労省は説明しましたが、ひとつの目安にはなります。

 ただし、ここで用いた保護基準額は、生活扶助、教育扶助、高校就学費の合計です。住宅扶助、医療扶助などは、この計算上の保護基準額に入っていないので、実際の低所得世帯はもっと多く、生活保護による捕捉率はもっと低いと考えられます。

 厚労省は「同様の調査を定期的に実施し、その動向を把握していく」と説明していましたが、その後、こうしたデータ分析は公表されていません。

研究者の推計でも、捕捉率は2割に満たない
 生活保護基準で線引きした貧困率や捕捉率については、1990年代から何人かの研究者が推計してきました。その多くは、所得のみの判定で10%から20%の間でした。

 最近では、山形大学の戸室健作准教授が、総務省「就業構造基本調査」のデータをもとに、生活保護基準で見た貧困率、捕捉率を都道府県別に計算しました(「都道府県別の貧困率ワーキングプア率、子どもの貧困率、捕捉率の検討(http://www-h.yamagata-u.ac.jp/wp-content/uploads/2016/04/nenpou13_03.pdf)」)。

 それによると、所得のみで判定した2012年の捕捉率は、全国平均で15.5%でした。先の紹介した厚労省の推計と、ほぼ一致しています。都道府県別で高いのは大阪23.6%、北海道21.6%、福岡20.0%、東京19.7%、高知18.7%の順。低いのは富山6.5%、長野6.6%、山梨7.1%、岐阜7.9%の順。かなりの地域差がありますが、高くても2割台にすぎません。

 戸室准教授の計算は生活扶助、住宅扶助、教育扶助、一時扶助の合計額で判定しており、医療扶助、高校就学費などは入っていないので、実際の捕捉率はもう少し低いはずです。

厳しい運用、冷たい対応、恥の意識……
 生活保護の捕捉率の低さは、制度があっても利用しにくいことを示しています。

 なぜ、そうなるのか。一つは資産要件の運用の厳しさです。現金・預貯金が保護基準の1か月分より多いと申請しても通りません。クルマの保有は求職・通勤・通院などの事情がないと認められず、車がないと日常生活が不便な地域では大きなネックになります。

 福祉事務所の対応も問題です。利用できないと思わせる説明を職員がすることや、冷たい態度を取ることがあります。

 生活保護の利用には、原則として本人の申請が必要です。けれども政府・自治体の広報は不十分で、制度の正しい知識・理解が伝わっていません。それどころか、恥の意識が社会に広く存在しています。申請後、親族に対して、申請者を援助する意思があるかどうかを問い合わせるのも、利用しにくくする壁になっています。生活が苦しくても我慢する人が多いわけです。とりわけ住民同士が互いをよく知るムラ的な風土の地域では、心理的な抵抗感が大きいでしょう。

 必要な時に生活保護を利用することは、憲法上の権利です。遠慮しないで利用できるよう、まずは行政からの積極的な周知広報を行うことが重要だと思います。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170704-00010000-yomidr-soci&p=3

(私の意見)--------------------------------

私は生活保護を日本国民に関してはもっともっと積極的に活用した方が良いと思っています。それはそれは単に貧困救済というだけでなく、マクロ経済という観点から見ても良いのです。

そのための予算を国は積極的につけるべきだと思います。生活保護は法律で決まった義務的経費ですから削減が難しいです。ですからマクロ経済的には確実な需要を保証する事になります。

私は、最低賃金ギリギリ程度の低賃金で働いているくらいなら、生活保護を受けてしまった方が良いと思います。私は労働供給量が減った方が経済が成長するという考え方を持っています。

労働供給量の減少→賃金の上昇→購買力の上昇→消費の増加→GDPの増加

生活保護予算の歳出の増加→消費の増加→GDPの増加

というメカニズムで国民が労働をやめて、国民がもっと積極的に生活保護を活用した方が経済は成長すると考えます。

これは一般的な道徳とは逆だと思います。しかしマクロ経済的には逆が真実である場合が多いのです。

現在、生活保護などの福祉制度は申請主義を取っています、しかし国民に一定の生活水準を下回ったら生活保護を受給させる事を義務付けた方が良いと思います。