愛国者のための経済ブログ

丹羽春喜先生小野盛司先生に学びました。経済を中心に論じて行きたいと思います。ヘリマネを財源ととするベーシックインカムによるデフレ脱却を目指しています。

基礎的財政収支ではなく債務のGDP比が新しい政府の目標に

基礎的財政収支ではなく債務のGDP比が新しい政府の目標に(No. 248)

NHKのニュースによると政府は、2020年度までに基礎的財政収支を黒字化するとした財政健全化目標を見直し、GDPに対する債務残高の割合に着目した、新たな目標を掲げる方向で検討に入ったそうである。従来は基礎的財政収支の黒字化ばかりに目を奪われていたために、増税と歳出削減の努力ばかり行っていた。その結果デフレが続き、経済が低迷、世界のGDPに占める日本の比率は18%近くあったものが6%以下にまで下がってしまい、経済における国際的な地位低下が止まらない。つまり日本が急速に貧乏になりつつあるということだ。結果として決して基礎的財政収支は改善しなかった。つまり、増税や歳出削減で基礎的財政収支を改善することは絶対にできないという結論がでた。

日本経済復活の会では、債務残高のGDP比を下げることを目標にすべきだと主張し十数年前から活動を始めた。債務のGDP比を下げるには積極財政でGDPを増やせばよく、それにより債務のGDP比を減らせると同時にデフレ脱却、景気回復も達成できる。2003年に我々は日本経済新聞社の日本経済モデルNEEDSを使い、実際それが実現可能であることを示した。そして内閣府のモデルでも同様な結果が得られることも示した。内閣府のモデルで実際にどのように国の債務やGDPやその比が変化するかをリアルタイムに示したのが次のサイトである。

http://www.tek.jp/p/

それを政治家・国民に知らせるために2004年にノーベル経済学賞受賞者であるローレンス・R・クライン氏を招きシンポジウムを開くと共に、議員会館で議員を集めクライン氏に講演を行ってもらった。また緊縮財政では日本が貧乏になるだけだと知らせるために、2007年10月26日の朝日新聞に全面広告を出し一人当たりのGDPが世界1位から18位まで下がったことを書いた。更に2010年6月22日の読売新聞の全面広告で積極財政を行えば、債務残高のGDP比は下がってくるのだというシミュレーションの結果を示した。

更に、日本経済復活の会と主張が近い国会議員を通じ、57回の質問主意書を通じて、基礎的財政収支を目標とするのでなく、債務のGDP比を目標にするよう説得してきた。今回遂にその説得の効果が出始めたのではないかと期待している。もし債務のGDP比を下げることを政府が目標に定めるとしたら、積極財政でGDPを増やすことをすればよいだけだということに気付くはず。それにより債務のGDP比は確実に減少し、デフレから脱却でき、2%のインフレ目標も達成でき、景気はよくなる。こんな素晴らしいことはないのだが、先程述べたNHKのニュースでは次のようなコメントもあった。

政府は、この指標(債務のGDP比)は債務残高が増えても、GDPが高い成長を続ければ改善するため、財政再建の取り組みを後退させるという指摘が出ることも予想されるとしている。

しかしこれは杞憂である。経済モデルを使って調べれば分かるように財政を拡大すれば、税収が増え基礎的財政収支は改善する。基礎的財政収支は必ずしも黒字化する必要はない。実際、基礎的財政収支が黒字の国は182カ国中52カ国(つまり28.5%)しかない。基礎的財政収支の黒字は景気にブレーキを掛けることであり、長く続くと失速しデフレに陥る。債務のGDP比が減り基礎的財政収支の赤字幅がある程度縮小すれば、それだけで十分財政が再建したことになるのだから、むしろ経済活性化に重点を移すほうがよい。

http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2017/05/no-248-cf06.html


http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170521/k10010989401000.html

 

(私の意見)
これは非常に重大なニュースです。もしかしたら、これまでの経済成長率1%程度の低成長時代を脱して、再び高度経済成長の時代に入る可能性が出てきました。

これまで、財務省プライマリーバランスだとか基礎的財政収支だとかいう馬鹿げた考え方に縛られて、大規模な財政出動を行う事が不可能になっていました。債務のGDP比という指標が基準となれば、財政出動をやればやるほど債務のGDP比は減る事は確実ですから大規模な財政出動が可能となります。

基礎的財政収支という馬鹿げた考え方に縛られて、防衛力、公共基盤、社会保障などを整備するのにものすごく制約を受けていました。また、消費税の増税という非常に馬鹿げた政策も行われてしまいました。これからは減税をしつつ、大規模に歳出を増やすという事が可能になります。

小野盛司先生は15年以上にもわたって、債務のGDP比で財政について判断するべきであるとの活動をやってきました。ようやくここにきて念願が叶いそうな状況になってきました。