愛国者のための経済ブログ

丹羽春喜先生小野盛司先生に学びました。経済を中心に論じて行きたいと思います。ヘリマネを財源ととするベーシックインカムによるデフレ脱却を目指しています。

シェール革命の顛末

 ニューヨーク原油価格が4月21日に1バレル=40ドル台に突入してから値下げ基調が続いている。米国のシェールオイル増産やガソリン在庫の増加で、石油輸出国機構(OPEC)やロシアなど主要産油国による協調減産の効果が薄れたためだ。OPECは今月の総会で減産延長の是非を判断するが、再び一枚岩になれるかどうかは見通せていない。

 1日のニューヨーク原油先物相場は、指標の米国産標準油種(WTI)の6月渡しが前週末比0・49ドル安の1バレル=48・84ドルと、3月下旬以来約1カ月ぶりの安値で取引を終えた。

 最大の要因は米シェール業界の活況だ。1年前に約320基だった石油掘削装置の稼働数は700基をうかがう勢いで急増し、油価の上値を抑えている。米国のガソリン在庫も市場予想に反して増加、供給過剰感から売りが加速した。

 ただ、米国では5月下旬から始まる夏の長期休暇でガソリン需要が高まるとの観測もある。石油天然ガス・金属鉱物資源機構の野神隆之主席エコノミストは「ドライブシーズンに伴うガソリン需要期に入って石油の需給が引き締まるとみられ、原油価格は50ドル台に回復する」と指摘する。

 今月25日にはOPEC総会が開かれる。シェールリスクが顕在化した中で7月以降の減産延長を実施しないと、油価をさらに押し下げる可能性が高まるため、OPECは減産延長を前提に議論するとみられる。

 今年1月以降の協調減産ではサウジアラビアなど一部の国が目標以上に減産することで全体の順守目標を達成した格好となっており、いかに各国の不公平感をなくして合意に持ち込めるかがカギを握る。

 原油の8割超を中東からの輸入に頼る日本への影響も大きく、石油関係者は総会の行方を注視する。


2017.5.2 22:23
http://www.sankei.com/economy/news/170502/ecn1705020040-n1.html

(私の意見)
原油の価格が1バレル100ドルを超えるという高値が長期間続いた結果、アメリカやカナダでシェール革命が起きました。現在まではオイルサンドとかオイルシェールとか呼ばれている、簡単に言えば砂や岩の混じった原油の事ですが、これを精製するのに高いコストがかかって商業ベースにあがりませんでした。シェール革命によって、精製コストが大幅に下がりました。(ちなみにオイルサンドやオイルシェールの埋蔵量は原油の数倍はあると言われています。)

その結果、原油の価格が大幅に下がりました。これからもさらなる増産が予定されていますので、長期的には価格の安値が続く可能性が高いでしょう。

国際政治の力学では、原油価格の低下は、産油国であるアラブ諸国、ロシア、ベネズエラなどの政治的地位の低下と日本やアメリカやインドなどの石油消費国の政治的地位の上昇をもたらします。日本にとっては、国益になるという事です。

原油価格の低下は、アメリカの世界戦略にも影響します。今までは、アメリカは湾岸戦争、アフガン戦争、イラク戦争などのアラブにおける原油の確保のために戦争を行ってきました。しかし、シェール革命によって自国で石油を確保できる様になりました。そのためアメリカにとって中東はもはや政治的に重要な地域ではなくなりました。アメリカはアラブで戦争をする必要がなくなったという事です。