愛国者のための経済ブログ

丹羽春喜先生や小野盛司先生に学びました。経済を中心に論じて行きたいと思います。ヘリマネを財源ととするベーシックインカムによるデフレ脱却を目指しています。

誤解されている設備稼働率


設備稼働率とは

設備稼働率とは、生産能力に対する生産実績(実際の生産量)の比率のことです。日本の設備稼働率は、毎月15日ごろに経済産業省鉱工業生産指数と同時に発表しています。

設備稼働率=生産実績/生産能力


今回は設備稼働率という統計について考えてみたい。設備稼働率とは上記の通りである。しかし、経済産業省からは2010年を100とした指数が発表されているだけで、実稼働率というものが発表されていない。ちなみに2016年7月時点で96.2となっている。
これは結構誤解されていて、実稼働率が96.2%だと誤解してしまっている人も結構いるのである。この誤解はかなり影響力を持った話で、実稼働率96.2%だと思ってしまうと、現在の日本経済はほとんどフル稼動の状況なので、景気対策予算において需要を増やしたとしても、供給のキャパシティがないためGDPを増やす事が出来ないという結論になってしまうのである。国会議員でも誤解している人がかなり多いと思われる。つまり政治家が景気対策予算を決める上でも小さめになってしまう要因の一つになっているのである。
では、実稼働率について経済産業省経済解析室の担当者に質問してみた。

私の質問 設備稼働率の統計について2010年を100とした指数で発表していますが、どうしてその様な指数で発表するのでしょうか。また、どうして実稼働率を発表しないのでしょうか。そして現在の実稼働率はいくつなのでしょうか。御回答をお願い致します。

経済産業省  この稼働率指数に関し、「なぜ実稼働率(○○%という数字)を公表しないのか」というご質問を頂戴しました。同じようなご疑問をもたれている方もおられるのではないかと思い、ここで理由をご説明したいと思います。
 さて、実稼働率を公表することについての要望は強いのですが、現在は公表していません。
 その理由としては、生産活動の形態は各業種様々であり、業種間の比較が困難なことに加え、現行の稼働率指数は月々の稼働率の推移を観察する指標としてほぼ十分ですが、実稼働率の総合的な水準を見るためには、精度が不十分であるためです。
 ただし、製造工業、機械工業、機械工業を除く製造工業について、基準時における実稼働率水準を公表しており、この実稼働率水準に稼働率指数を乗じることによって、その時点における実稼働率のおおよその目安が得られます。
 平成22年基準における実稼働率水準は、製造工業76.7%、機械工業77.6%、機械工業を除く製造工業75.3%となっています。
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/qa.html
(このQ&Aの6番目の質問です)

平成22年(2010年)時点での実稼働率がおおよそ75~78%程度だそうです。ざっと77%とします。その時点を100として現在が96.2ですから、77%×96・2=74です。つまり現在の設備稼働率は74%という事になります。
つまり日本経済をフルの稼動まで上げるためには、26÷74=35ですから、実に35%生産水準を高めないとフルの稼動状態には達しないという事になるのです。
単純に考えると、現在の実質GDPは530兆円ですから、530×35%=186兆円の生産キャパシティがあると推定できるのです。(ただし設備稼働率は製造業だけの統計ですが。サービス業等は含まれていないという前提ですが。)つまり日本経済は相当な生産余力、生産キャパシティを抱えていることは疑いのない事実なのです。
いずれにしても、現在の設備稼働率という2010年を100とした指数で発表し、実稼働率を発表しないやり方はかなり世間の誤解を招く結果をもたらしているのである。あるいは経済産業省の幹部官僚達がわざと誤解を招く様な統計発表のやり方をして、意図的に景気対策予算の規模を少なめに持って行こうという意図でやっているのだろうか。それすら疑いたくなるのである。