ヒット商品と経済成長
よく経済の議論をしていると、「企業が優れたヒット商品を生み出せなくなったから経済成長が出来なくなった」という意見を目にする。
しかし私はこれは間違っていると考えている。むしろ経済成長にとってマイナスになっている可能性すらあると考えている。
例えば、最近のヒット商品であるスマホを例にとって考えてみよう。
スマホは極めて優れた商品である。電話が出来て、インターネットが出来て、動画も写真も撮れて、その他エトセトラ様々な事が出来る商品である。
しかしこんな優れた物が生み出されたら、消費者のあらゆる欲望が簡単に満たされてしまうのである。
消費者がお金を払うという行為のためには、欲望を叶えたいという飢餓感が必要である。
以前であれば、音楽を聞くためにオーディオ機器やCDが必要であったし、動画を撮ったり見たりするためにはビデオの機器も必要であったし、写真を撮るためにはカメラも必要であった、その他エトセトラ。そういったものの売り上げは、スマホの普及で確実に落ちていると考えられる。
別に私はスマホを悪だと言いたいわけではない、優れた商品であると思っている。しかし、優れた物が発明される事で副作用も起こるのである。潰れたり、縮小したりする産業もあるのである。
優れたヒット商品を生み出すような技術進歩はデフレ要因になるのである。今、世界はどの国もデフレの状況にある。そして、最も強いデフレに陥っているのは日本である。これは、それほどお金を払わなくても快適な生活が送れるという素晴らしい社会だからという様にも言えるのである。
だから、もっともっと強いデフレ対策が必要となってくるのである。